テレックス (02/09/23)



最近の新聞に、テレックスのサービスを終了するとの記事が出ていたのを見て、非常に感慨深かった。

テレックスと言っても、いまやどんなものか知らない方も多いかも知れない。タイプライターに鑽孔機がついていて、その鑽孔機で紙テープに文字を表す穴を明けて、その紙テープをそのタイプライターに読み込ませ、海外などに文章を送信する通信システムである。もちろん、文字しか送れない。十数年以上前は、海外との通信はほとんどこのテレックスに頼っていた。電話はあったが、記録に残る手段としては、テレックスだけだった。ファックスがそろそろ出始めていた頃である。

私が十数年前に、中近東のある国に長期の出張を繰り返していた時も、このテレックスは業務連絡用に頻繁に利用していた。
その国は、ちょっと特殊な国だったので、色々と状況を日本に報告するにも、事細かに伝えないと日本側になかなか理解してもらえないという事情があった。そのため、いわゆるフンドシのテレックスになる。短くてもロール紙で長さ1m位、長くて2、3mの長さになる。これを毎晩日本に深夜送信していた。
紙テープを作る際に、原稿が長いと自分で原稿を見ながらタイプを打つのは時間がかかるので、他の人に読んでもらい、それを聞きながらタイプを打っていた。入力ミスがあると、間違ったところまで紙テープを1文字づつ数えながら戻し、またその部分からすべて打ち直さなければならない。

また、日本に帰国している時も、現地に長いテレックスを送らなければならなかった。通常テレックス室への原稿渡しは夕方までだった。しかし毎日のように、遅い時間に大量の原稿をテレックス室に持っていくので、そのうちテレックスオペレータのおばさんと顔なじみになり、テレックス室の鍵の場所もこっそり教えてもらい、深夜に自分でテレックス室から勝手にテレックスを打ったりもしていた。

今思うに、この頃が一番ブラインドタッチが早かったと思う。かなりの早さで、人の喋るのを聞きながらタイプが出来た。その後はどんどん衰えて行って、今は入力間違いがとても多い。

そんな訳で、テレックスのサービスが廃止されることに、人一倍感慨深いものを感じてしまった。

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